
フロンティアが一斉に入った週
調査日は 2026-09-07。対象はおおむね 8月24日から9月7日。一次情報は各社の公式ブログ、changelog、docs。ベンダー自己申告のベンチは、ここでは独立検証していない。
この1〜2週間は、新しい旗艦モデルが一度に現場へ出た週であり、同時に「長く動くエージェント」を運用する側の話でもあった。
何が重なったか
モデル側では、Anthropic の Claude Fable 5.1 / Mythos 5.1(9月1日)、OpenAI の GPT-6 Astra(9月3日)、そして GitHub Copilot への両モデルと Gemini 3.8 Flash の投入が続いた。
運用側では、Cursor の Self-hosted Machines(9月2日)、Grok Bot for Enterprise(9月3日)、Claude Code の連続リリース、OpenAI Codex のハーネス公開が並ぶ。実行場所を顧客側に寄せる動きと、セーフガードを二層にする動きが同時に見えた。
モデル:同じ週に旗艦が並んだ
Claude Fable 5.1 と Mythos 5.1
9月1日、Anthropic は同一基盤をセーフガードの差で2製品にした。Introducing Claude Fable & Mythos 5.1 によると、Fable は一般提供(claude-fable-5-1)、Mythos は信頼アクセス向け。コンテキスト 1M、出力 128k。入出力は $10 / $50 per MTok。キャッシュ読みは $0.25/MTok で、従来から 75% 下がったと案内されている。
Fable は防御的な脆弱性発見は可、exploit 生成は不可のセーフガード構成。一方 Mythos は信頼アクセス向けのセーフガードを緩和した別構成であり、利用条件が異なる(Introducing Claude Fable & Mythos 5.1)。同じ日に Enterprise Frontier Safeguards も出た。顧客側のクラウドにデータを置きつつ、misuse 検知を両立する仕組みで、2026年秋からの段階ロールアウトとされている。
実務の目安としては、日常のエージェント作業は Opus 5 / Sonnet 5 側、旗艦が要る仕事だけ Fable、という切り分けがまだ自然に見える。価格は調査時点の案内であり、契約条件は各社の最新 docs を見てほしい。
GPT-6 Astra
9月3日の GPT-6 Astra は、コーディング、リサーチ、computer use、多段ドキュメント作業向けの旗艦として出た。ChatGPT と API(gpt-6-astra)へ段階展開。Responses API には async tool calling、途中からの steering、会話中の effort 変更が載っている。
Safety overview では、Preparedness 上 cybersecurity が Critical に初めて到達したと書かれている。これはベンダー自己評価であり、独立検証はしていない。プラン別の実可用性もロールアウト中なので、「出た日に全プランで使える」とは書いていない。
コミュニティ側では、9月1日前後のアップデート後に Codex Desktop の Projects 一覧が消えた、という利用者報告が複数ある。チャット本体は残っている、という声が多い。Developer Community のスレッド はあるが、公式の障害告知としては未確認であり、あくまで「利用者報告」として扱う。
Copilot に載った日
GitHub Copilot は、モデル投入のハブになった。
- GPT-6 Astra は 9月4日に Pro+ / Max / Business / Enterprise で GA。changelog
- Claude Fable 5.1 は 9月1日、Pro+ / Max / Business / Enterprise。changelog では、Anthropic 側のデータ保持がデフォルトで必要と書かれている(学習用途ではない、との注記)。Business / Enterprise はポリシー既定オフ。
- Gemini 3.8 Flash は 9月3日、Pro 以上。導入価格は 2026年12月31日まで、との記載。changelog
企業で Fable を触るなら、retention とモデルポリシーを先に見た方がいい。それが今週いちばん実務に効く注記だと思う。
長く動かす側の基盤
モデルが出るだけでは、数日かかる仕事は回らない。今週はそちらの発表も多かった。
Cursor は 9月2日、Self-hosted Machines を出した。ツール実行を顧客ネットワーク内のワーカーへ寄せ、推論と計画は Cursor クラウドに残す形。My Machines と Pools、既存サンドボックス(Lambda、Coder、Cloudflare、Modal、Vercel、E2B など)が案内されている。セキュリティ要件で「実行を外に出したくない」チーム向け、という読みが自然。
xAI は 9月3日、Grok Bot for Enterprise を出した。アクセス、ネットワーク、監査のコントロール。Grok / Cursor Enterprise は2週間無料、シート無しメンバーの招待可、と案内されている。
OpenAI は 8月19日時点で Codex as a platform として、CLI / app-server / SDK を再利用可能なエージェントループとして公開している。埋め込みや自前 UI 向け。
Anthropic 側は、ant CLI 1.30.0 の ant apply で agents / environments / skills / memory / deployments をリポジトリのファイルから宣言・適用できる、と Platform release notes にある。Claude Code も 9月6日前後まで連続リリースが続き、/skill-doctor や Bash・バックグラウンドタスクのインライン出力上限の拡大(最大 128K 文字)、Fable 5.1 を既定 Fable にする変更など、現場向けの差分が changelog に並んでいる。
研究側のシグナルとして、9月4日の Formalizing Fermat’s Last Theorem がある。Claude のエージェント群が約11日で、computer-checked な Lean 証明(約1,300万行、中間定理約2.95万)を end-to-end で通した、という報告。公式は研究用内部モデル(Fable 5.1 相当)と書いている。新しい数学の発見ではなく、既存証明の形式化だ。ただし「数日〜十数日、エージェントを置きっぱなしにできるか」の実証例としては、今週いちばん大きい。
カレンダーに書いておくこと
Copilot 管理者向けの日付が、調査時点でこう並んでいる。
- 9月1日廃止済: Gemini 3.1 Pro、Claude Opus 4.5 / 4.6、Sonnet 4.5 / 4.6(年次個人は Sonnet 4.6 に例外あり)など
- 9月28日以降: github.com / Mobile / cloud agent の体験とポリシー統合。オプトアウトすると github.com と Mobile の Copilot が失効する可能性。Code review の既定 effort は Lite から Balanced
- 10月1日: Business / Enterprise のカード / PayPal 顧客でシート前払い課金など
- 10月2日廃止予定: Gemini 3.5 / 3.6 Flash は 3.8 Flash へ、Kimi K2.7 Code は K3 へ、Claude Opus 4.7 は Opus 5 へ
出典は Upcoming deprecation と policies & billing。日付は動きやすいので、採用前に changelog を再確認してほしい。
今週触るなら
旗艦を試すなら Fable 5.1 か Astra。企業は retention とモデルポリシーを先に。Cursor は self-hosted が要るかどうかを、セキュリティ要件で判断する話だと思う。
日常のエージェント作業まで全部旗艦に寄せる必要は、価格を見る限りまだなさそうだ。Opus 5 / Sonnet 5、GPT-5.6 系、Grok 4.5 / 4.6、Composer 系を使い、クレジット消費を見ながら旗艦を足す、という整理のまま使える。
事実関係は記事中に挙げた一次ソースに合わせた。ベンチマークの優劣や、二次報道の買収話は入れてない。