Claude Haiku 5.5 発表内容のまとめ


Anthropic は 2026年10月7日(米国時間)に、5.5 ファミリーの小型モデル Claude Haiku 5.5 を発表しました。10万トークン以下のプロンプトでは、入力と出力の単価が Haiku 4.5 の10分の1になります。また、Haiku として初めて effort(応答にどれだけトークンを使うかの設定)を調整できるようになりました。一方で、手動の思考予算やサンプリングパラメータ、プリフィルが使えなくなるなど、Haiku 4.5 のコードをそのまま差し替えると動かない変更もあります。この記事では、価格・仕様・提供先と一緒に、移行時に注意する変更もまとめます。

ここに記載した内容は、公式発表および英語の公式ドキュメントで公開されている情報に基づいています。

こんなときはこの節へ

こんなとき読む節
Haiku 5.5 がどんな用途向けのモデルか知りたい位置づけ
料金と「75%安い」「90%安い」の意味を確認したい価格
コンテキスト長や最大出力、トークン数の変化を知りたいコンテキスト長と最大出力
Bedrock や Google Cloud で使えるか、モデルIDを知りたい提供先とモデルID
性能の目安を知りたいベンチマーク
effort をどう設定すればよいか知りたいeffort の使い方
Haiku 4.5 から切り替えたら HTTP 400 エラーが出たHaiku 4.5 からの移行で注意する変更
移行作業の確認項目がほしい移行チェックリスト

位置づけ

発表ページは Haiku 5.5 を、同社がこれまでに出した中で最も安く、最も速く、最も高性能な小型モデルと紹介しています。想定されている用途は次のとおりです。

  • 大量でコストに敏感な処理に向いています。要約、コンパクション(会話の圧縮)、データベースへの問い合わせ、分類のような、短く繰り返しの多い処理が得意分野として挙がっています。
  • コーディング作業では、Opus 5.5 や Sonnet 5.5 と組み合わせるサブエージェントとして相性がよいとされています。
  • 同社でこれまで最も速いモデルなので、ライブのカスタマーサポートやブラウザ操作のように速度が重要な処理にも向くとされています。ただし、これは各モデルの標準速度で比べた場合で、Fast Mode の Opus よりは遅いと脚注で断っています。

一方で、Terminal-Bench 4.0 のような複雑なエージェント型コーディングには Sonnet 5.5 や Opus 5.5 のほうが適しており、Haiku 5.5 は範囲を絞ったタスクに最適だと位置づけられています。モデル概要ページでも、分類・抽出・ルーティングのような、大量でレイテンシ(応答までの待ち時間)に敏感なタスク向けと説明されています。

価格

Haiku 5.5 は、プロンプトの長さで単価が変わる価格体系です。プロンプトが10万トークン以下か、10万トークンを超えるかで単価が分かれます。料金ページによると、Claude 4.6 以降のモデルは 1M コンテキスト全体を同じ単価で使えますが、Haiku 5.5 はその例外です。

1M(100万)トークンあたりの米ドル価格は次のとおりです。

項目Haiku 5.5(10万トークン以下)Haiku 5.5(10万トークン超)Haiku 4.5
入力$0.10$0.50$1.00
出力$0.50$2.50$5.00
キャッシュ書き込み(5分)$0.125$0.625$1.25
キャッシュ書き込み(1時間)$0.20$1.00$2.00
キャッシュ読み取り$0.01$0.05$0.10
Batch API 入力$0.05$0.25$0.50
Batch API 出力$0.25$1.25$2.50

Batch API(まとめて非同期に処理する API)は、入力・出力とも50%引きです。

「75%安い」と「90%安い」の意味

発表ページには「安くなった」ことを示す数字が二つあり、比べているものが違います。

  • 90%安いは、トークン単価の比較です。10万トークン以下のリクエストでは Haiku 4.5 より90%安く、10万トークンを超えるリクエストでは50%安くなります。上の表の入力・出力単価($1.00 から $0.10、$5.00 から $0.50)と一致します。なお、発表ページには「Haiku 4.5 ではリクエストの90%が10万トークン以下だった」という別の90%も出てくるので、読むときは区別してください。
  • 約75%安いは、平均の運用コストの比較です。プロンプトの長さによる単価の違いと、新しいトークナイザーでトークン数が増える分を織り込んだ平均です。個々のワークロードで必ず75%下がるという意味ではありません。

Bedrock と Google Cloud の価格

Amazon Bedrock と Google Cloud での価格は各社が決めます。Anthropic の料金ページは、両社のリージョナル/マルチリージョンのエンドポイントはグローバルエンドポイントより10%高い(Claude Sonnet 4.5、Haiku 4.5、Opus 4.5 以降のモデルが対象)としています。具体的な金額は、各社の料金ページで確認してください。

同時に発表された関連の変更

同じ発表で、Sonnet 5.5 のキャッシュ読み取りが 1M トークンあたり $0.20 から $0.10 に値下げされました。また、Max と Team のプランには、毎月の API クレジットが今週中に順次付与されます。

コンテキスト長と最大出力

  • コンテキストウィンドウは 1M トークンです(Haiku 4.5 は 200K トークン)。
  • 最大出力は 128K トークンです(Haiku 4.5 は 64K トークン)。Message Batches API では、ベータヘッダー output-300k-2026-03-24 を付けると最大 300K トークンまで出力できます。
  • 入力はテキストと画像、出力はテキストです。
  • 信頼できる知識のカットオフと、学習データのカットオフは、どちらも 2026年6月です。

トークナイザーは Claude Opus 4.7 以降と同じ新しいものになりました。同じテキストが Haiku 4.5 より約30%多いトークンとして数えられます(増え方は内容によって変わります)。

1M トークンまで入れられるとはいえ、10万トークンを超えるプロンプトは入出力の単価が5倍になります。トークン数が約30%増えることも合わせて、長い入力を扱う処理では、10万トークンの境目をまたぐかどうかを事前に見積もっておくと安心です。

提供先とモデルID

発表ページによると、Haiku 5.5 は Amazon Web Services、Google Cloud、Microsoft Azure を含むすべてのプラットフォームで、発表当日から利用できます。

提供先モデルID
Claude APIclaude-haiku-5-5
Amazon Bedrockanthropic.claude-haiku-5-5(推論プロファイルは global. / us. / eu. / au. / jp. の各接頭辞。例: global.anthropic.claude-haiku-5-5)
Claude Platform on AWSclaude-haiku-5-5
Google Cloud(Vertex AI / Gemini Enterprise Agent Platform)claude-haiku-5-5
Microsoft Foundryclaude-haiku-5-5(既定のデプロイ名)

補足です。

  • 推論プロファイルは、Bedrock でリクエストを複数のリージョンに振り分けるための指定です。日本向けの jp. 推論プロファイルも初日から用意されています。また、米国の政府機関向けリージョンである AWS GovCloud (US) でも提供されています。
  • Google Cloud のドキュメントは、見出しに「Gemini Enterprise Agent Platform」という名前を使っています(URL は Vertex AI のものです)。
  • claude.ai と Claude アプリでも Haiku 5.5 が使われています。公式ドキュメントで、そこで使うシステムプロンプトが公開されています。
  • Anthropic が運営する提供先(Claude API、Claude Platform on AWS、Microsoft Foundry)では、Haiku 5.5 は 2027年10月7日より前には廃止されません。Bedrock と Google Cloud は各社が独自に決めます。

Claude Code で使う場合

Claude Code では v2.1.293 で Haiku 5.5 が追加され、Anthropic API で使うときの既定の Haiku モデルになりました。Haiku 5.5 を使うには v2.1.293 以降が必要です。

haiku エイリアスがどのモデルを指すかは、提供先によって違います。Anthropic API では Haiku 5.5 ですが、Claude Platform on AWS、Amazon Bedrock、Google Cloud、Microsoft Foundry では、2026年10月8日時点の公式ドキュメントの表では Haiku 4.5 のままです。これらで Haiku 5.5 を使いたい場合は、環境変数 ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL でモデルを明示します。

ベンチマーク

以下は Anthropic の発表ページに載っている数字で、第三者が独立に検証したものではありません。評価方法の詳細は、Haiku 5.5 のシステムカードにあります。GDPval-AA は Artificial Analysis のベンチマークですが、表の数字は Anthropic の発表ページから取っています。GPT-6 Luna は OpenAI のモデルで、Sonnet 5.5 は参考として載せています。

分野・ベンチマークHaiku 5.5Haiku 4.5GPT-6 LunaSonnet 5.5(参考)
知識労働 GDPval-AA v2.1162073514371840
知識労働 AA-Briefcase v1.1157861413361824
コンピューター操作 OSWorld 2.1(オフラインのサブセット)72.4%15.7%48.9%83.9%
学際的推論 Humanity’s Last Exam(ツールなし)45.9%10.2%—56.9%
学際的推論 Humanity’s Last Exam(ツールあり)57.4%18.7%—64.5%
エージェント型コーディング Terminal-Bench 4.039.2%0.0%16.4%70.6%
エージェント型コーディング FrontierCode 1.1(Main)46.4%—42.4%52.1%(xhigh)
視覚的推論 Chartography(ツールなし)46.4%6.4%29.1%61.6%

「—」は発表ページに数字がない項目です。Haiku 4.5 からの伸びは大きい一方、Terminal-Bench 4.0 では Sonnet 5.5 との差も大きく、前の節のとおり、複雑なエージェント型コーディングは Sonnet 5.5 や Opus 5.5 に任せる位置づけです。発表ページには、effort の段階ごとの精度とコストを示すグラフもあります。

effort の使い方

effort は、Claude が応答にどれだけトークンを使うかを決めるパラメータです。思考(thinking)だけでなく、本文やツール呼び出しを含むすべての出力に効きます。Haiku 5.5 は、Haiku として初めて effort に対応しました。

段階と既定値

指定できる段階は low / medium / high / xhigh / max の5段階です。既定値は medium で、Claude API でも Claude Code でも同じです。Claude API では、ほとんどのモデルの既定が high で、Haiku 5.5 は Opus 5.5 と並んで既定が medium の例外にあたります。

公式ドキュメントの Haiku 5.5 向けのおすすめは次のとおりです。

段階向いている用途
low最も安く速い段階です。チャット、短いツール作業、単純で大量のリクエストに向きます。長いエージェント用プロンプトでは、検索を省いたり、早く止まったりしやすくなります。
medium(既定)エージェント型コーディングを含む、ほとんどの作業の出発点です。
high知識労働、長めのエージェント作業、指示に厳密に従わせたい場合に向きます。
xhigh / max自分の評価で品質の向上が確認できたときだけ使います。思考も返答もかなり長くなるので、Sonnet 5.5 と性能・コスト・速度を比べることが勧められています。

API での指定方法

effort は output_config.effort で指定します。Haiku 5.5 の思考は、既定でオンの適応型思考(adaptive thinking、必要に応じて思考の量を自動で調整する方式)です。

{
  "model": "claude-haiku-5-5",
  "max_tokens": 16000,
  "thinking": { "type": "adaptive" },
  "output_config": { "effort": "low" },
  "messages": [{ "role": "user", "content": "..." }]
}

思考を減らしたいとき

  • 思考を減らしたいときは、まず effort を下げます。公式のプロンプトガイドによると、「直接答えて」とプロンプトに書いても思考は止まりませんでした。
  • thinking: {"type": "disabled"} で思考をオフにすることもできますが、使えるのは low / medium / high のときだけです。xhigh と max で指定すると、HTTP 400(リクエストが不正)エラーになります。
  • 思考のトークンは max_tokens に含まれます。max_tokens が小さいと、思考のあと本文が出る前に stop_reason: "max_tokens" で止まることがあります。

会話の途中で effort を変える

Claude API と Google Cloud では、メッセージ単位で effort を変える機能(ベータ)が使えます。ベータヘッダー mid-conversation-output-config-2026-07-01 を付け、role: "system" の空メッセージに output_config.effort を入れます。この方法ならプロンプトキャッシュが保たれます。リクエスト全体の effort をリクエストごとに変えると、キャッシュが効かなくなります。なお、思考をオフにしている場合に途中で effort を変えると HTTP 400 エラーになります。Bedrock では、Haiku 5.5 はこのメッセージ単位の変更の対象に入っていません。

Claude Code での変え方

Claude Code でも Haiku 5.5 の既定は medium で、5段階すべてを選べます。/effort コマンド、--effort フラグ、環境変数 CLAUDE_CODE_EFFORT_LEVEL などで変えられます。サブエージェントやスキルの frontmatter に effort を書くと、その実行中だけ effort を上書きできます。

Haiku 4.5 からの移行で注意する変更

公式の移行ガイドとリリースノートは、Haiku 4.5 向けに書いたコードが Haiku 5.5 では動かなくなる場合があると明記しています。モデルIDだけを差し替える前に、次の変更を確認してください。

HTTP 400 エラーになる変更

What’s new のページが互換性のない変更として挙げているのは、次の5つです。

  1. 手動の拡張思考: thinking: {"type": "enabled", "budget_tokens": N} は HTTP 400 エラーになります。適応型思考と effort に置き換えます。
  2. サンプリングパラメータ: temperature / top_p / top_k に既定以外の値を入れると HTTP 400 エラーになります。通るのは temperature の 1 と top_p の 0.99 だけです。top_p の 1 もエラーになり、top_k はどの値でもエラーです。temperature と top_p を同時に入れてもエラーになります。
  3. プリフィル: assistant ターンで終わるリクエスト(応答の書き出しを先に渡して続きを書かせる手法)は、思考をオフにしていても HTTP 400 エラーになります。構造化出力(Structured Outputs)、enum 付きのツール、システムプロンプトでの指示などに置き換えます。Bedrock は構造化出力に対応していないので、ツールを使います。
  4. コンピューター操作のツール: Claude API と Google Cloud のコンピューター操作(computer use)では、computer_20250124 ではなく computer_toolset_20260801 ツールセットが必要です。
  5. 思考ブロックを送り返す会話の変更: 思考ブロックを送り返す会話で、system / tools / 以前の messages を変更すると HTTP 400 エラーになります。会話は追記だけにします(2026年8月31日 00:00 UTC、日本時間では同日 9:00 より前に作られたアカウントでは、特定の設定をしたときだけエラーになります)。

挙動が変わる点

  • 適応型思考が既定でオンなので、応答が思考ブロックから始まることがあります。最初のコンテンツブロックを答えとして読んでいるコードは、type で選ぶように直します。
  • 思考の中身は既定で空になり、署名(signature)だけが返ります。要約を受け取りたい場合は thinking: {"type": "adaptive", "display": "summarized"} を指定します。
  • 同じテキストが約30%多いトークンとして数えられます。max_tokens、コストの見積もり、トークン数の監視を見直します。
  • 思考ブロックは、それを生成したアカウント(または連携したアカウント)でしか有効になりません。別のアカウントで会話を再生すると、思考ブロックは黙って捨てられます。

そのほかの注意点

  • 安全分類器がリクエストを断ると stop_reason: "refusal" が返ります。サーバー側のフォールバックはないので、クライアントで扱います。
  • tool_choice で any や特定のツールを強制すると、思考ブロックなしでツール呼び出しから始まります。
  • Haiku 5.5 は Priority Tier(処理容量を優先的に確保する契約)に対応していません。Haiku 4.5 で Priority Tier を契約している組織は、容量の計画を別に立てる必要があります。
  • サイバーセキュリティ関連のセーフガードは Haiku 4.5 より厳しくなっています。一方で Sonnet 5.5 と比べると、より広い範囲の防御的なタスクを許可しつつ、ペネトレーションテストのような攻撃者が使いやすい手法はブロックする、と説明されています。
  • プロンプトについては、Haiku 4.5 の既存のプロンプトは、変更なしでもよく動くはずだとされています。

Claude Code を使っている場合は、/claude-api migrate this project to claude-haiku-5-5 で移行作業を自動化できます。モデルIDの置き換え、互換性のないパラメータの修正、プリフィルの置き換え、effort の調整を行い、手で確認すべき項目のチェックリストを出してくれます。

Haiku 4.5 はいつまで使えるか

モデル廃止のページでは、claude-haiku-4-5-20251001 は現役(Active)の扱いで、廃止予告は出ていません。廃止予定日の欄には「2026年10月15日より前には廃止しない」とあります。これは最短の日付で、その日に廃止すると決まったわけではありません。公開モデルを廃止するときは少なくとも60日前に通知する、ともモデル廃止のページに書かれています。

移行チェックリスト

  • モデルIDを、提供先ごとの Haiku 5.5 用のものに変えた(Claude API は claude-haiku-5-5、Bedrock は anthropic.claude-haiku-5-5 と推論プロファイル、Google Cloud は claude-haiku-5-5)。
  • budget_tokens を使った思考の指定を、{"type": "adaptive"} と output_config.effort に置き換えた。
  • 思考なしで動かしていた処理は、低い effort にするか、high 以下で disabled を指定するようにした。
  • temperature / top_p / top_k をリクエストから外した。
  • assistant のプリフィルをやめ、構造化出力やツールに置き換えた。
  • レスポンスのコンテンツブロックを type で選ぶようにした。
  • 思考トークンの分も含めて max_tokens を見直した。
  • 新しいトークナイザーでトークン数を数え直し、10万トークンの境目をまたぐかも含めてコストを見積もり直した。
  • stop_reason: "refusal" を処理するようにした。
  • コンピューター操作を使う場合は computer_toolset_20260801 に移した。
  • 思考ブロックを送り返す会話を追記だけにし、別のアカウントで再生していないことを確かめた。
  • Priority Tier を使っている場合は、容量の計画を別に立てた。
  • 自分の評価で low / medium / high を比べ、effort を決めた。

まとめ

Claude Haiku 5.5 は、10万トークン以下のプロンプトで Haiku 4.5 の10分の1の単価になり、1M トークンのコンテキストと effort の調整に対応した小型モデルです。大量処理やサブエージェントのように、範囲を絞った処理を安く速く回したい場面に向いています。一方で、budget_tokens、サンプリングパラメータ、プリフィルが HTTP 400 エラーになるなど、Haiku 4.5 のコードをそのまま使えない変更があります。切り替える前に、移行ガイドと上の移行チェックリストで自分のコードを見直してください。

参考リンク